調味料の「さしすせそ」とは、和食の味付けの基本になる5つの調味料のこと。また、その使用する順序を覚えるための語呂合わせです。
第5回目は「さとう(砂糖)」についてです。
- さとう(砂糖)
- しお(塩)
- す(酢)
- せうゆ(醤油)
※旧仮名遣いです - みそ(味噌)
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「さとう(砂糖)」は、単に「甘さ」を加えるだけの調味料ではありません
甘いお菓子やジュースは、子どもたちの大好物ですね。
そんな甘さのもとである砂糖は、単に料理に「甘さ」を加えるだけの調味料ではありません。お肉を柔らかくしたり、食材の保存性を高めたりするなど様々な力を持っています。
今回は砂糖の歴史から種類、違いをご紹介。一緒に学んであなたも砂糖博士に!
インド最古の仏教典に「薬」として記されていた「さとう(砂糖)」
今では甘味を与える調味料としてのイメージが強い砂糖。でも昔は「薬」として扱われていたことをご存知でしたか?砂糖の発祥地とされる紀元前2000年頃のインドの仏教典には「砂糖」は薬として記されており、病気による衰弱、疲労の回復に大変貴重なものとされていたようです。
一方、日本へは奈良時代に唐の僧、鑑真が持参したとの説があります。
正倉院に納められた「種々薬帳(しゅじゅやくちょう)」という薬の目録に「蔗糖(しょ糖)」という言葉が記されており、これが日本での砂糖の最初の記録とされています。
「さとう(砂糖)」の種類を知って使い分けてみよう!
砂糖は白い砂糖だけでなく、いろいろな種類・特徴があります。
- 上白糖(白砂糖)
結晶が細かく、わずかに水分を含んでいることから、しっとりしています。どんな料理にも相性がよい特徴があります。 - グラニュー糖
上白糖よりも結晶が大きく、サラサラしています。あっさりとした甘さで、飲み物からお菓子まで幅広く使えます。世界的によく使われている砂糖です。 - 三温糖
加熱して造られているため黄褐色です。コクがあり、煮物や佃煮などに合います。 - きび砂糖
さとうきび特有の風味を活かした薄い茶色の砂糖です。こちらもお料理やお菓子など、幅広く使えます。ただし、特有の色や風味があるので、料理に色を付けたくない場合や素材の風味を活かしたいときは不向きかもしれません。
そのほか、氷砂糖や角砂糖、粉砂糖などもあります。いろいろな砂糖が持つ特徴を生かして、お料理によって使い分けてみるとよいでしょう。
「さとう(砂糖)」ってどうして白いの?
白い砂糖をよく見てみましょう。白く見えるかもしれませんが、実際は、ショ糖でできた無色透明の結晶です。
白く見えるのは結晶が光を乱反射しているためで、水の結晶である雪が白く見えるのと同じ現象といえばわかりやすいでしょうか。お子さんと一緒に砂糖を手にとって、よ~く観察してみましょう。一粒一粒が透明なのがわかります。
「さとう(砂糖)」の働きって? 美味しさに役立つ5つの調理特性
砂糖は、水に溶けやすく(親水性)、水と結合しやすい性質があります。
周囲から水分を引き込む脱水性と水分を保持する保水性を合わせもっており、これらの性質が料理のおいしさや保存性に役立っているのです。
- お肉を柔らかく
お肉をそのまま焼くと水分が奪われ固い食感になりがちです。そこで、お肉に砂糖を揉みこむことで、砂糖がお肉の水分とコラーゲンを結びつけて、お肉を柔らかくしてくれます。 - 泡の安定性
卵白に砂糖を加えて泡立てると、砂糖が卵白の水分を抱え込んで、きめ細かく消えにくいメレンゲになります。生クリームも同様に、しっかりとした仕上がりになります。 - ゼリー化
ジャムがトロリとしているのは、柑橘類やリンゴの皮などに含まれるペクチンという多糖類によるものです。ペクチンをトロリとさせるためには酸と砂糖の力が必要です。加熱によって溶けはじめたペクチンの水分を砂糖が吸収して抱え込み、ペクチンの組織に作用して、とろみをつけます(ゼリー化)。 - でんぷんが固くなるのを防ぐ
すし飯に砂糖を加えると、ご飯が固くなりにくくなります。これは、砂糖がでんぷんの水分と結びつき、保持する役割を果たすためです。
羊羹や餅菓子などが固くなりにくいのも、砂糖が一役買っています。 - 防腐性
砂糖を多く含む食品が腐りにくいことは、多くの方がご存じだと思います。
この防腐性も実は砂糖の力です。水分を奪って抱え込み、離さない砂糖の性質によって、増殖に水分を必要とするカビや細菌の活動を妨げてしまうのです。
「さとう(砂糖)」を上手に使っておいしさと幸せを食卓に
からだが疲れたときや、ストレスを感じたとき、甘いものを食べると心が癒されたり、幸せな気持ちになったりしますよね。
心の栄養になる一方で、甘いものの食べ過ぎはむし歯や肥満の原因にもなりやすくなります。普段の食事では食材そのものの味を大切に、少しずつ砂糖を加えるなどして上手く付き合っていくとよいでしょう。