幼児専門の給食委託会社「富喜屋(ふきや)」は、全国の保育園・幼稚園・こども園に給食を提供しています。

社会福祉法人けいわ会 杉並区立下高井戸保育園さま【東京都】(委託給食・改善コンサルティング)

「社会福祉法人けいわ会 杉並区立下高井戸保育園」の澤津 弘理事長にお話しをお伺いしました。

給食室に新しい風を
社会福祉法人けいわ会理事長 「澤津 弘」先生

東京都杉並区および神奈川県川崎市で8つの保育園を運営される社会福祉法人けいわ会さま。弊社は、8園のうち、杉並区にある「下高井戸保育園」さまに「保育園給食改善コンサルティング」をご提供しています。

「給食改善コンサルティング」を導入されたきっかけと成果について、理事長の「澤津 弘」先生、「杉並の家ちゅうりっぷ保育園」園長の「澤津 琴美」先生、「下高井戸保育園」園長の「松岡 澄」先生にお話を伺いました。

>>「社会福祉法人 けいわ会」のホームページ

理事長「澤津 弘」先生

「給食はこどもたちの身体をつくるもの」だから大切にしたいです

宮崎:貴園にはじめてご訪問した際に給食をいただきましたが、非常に多様な食材を使用されていた点や、焼き立てのパンなどが大変美味しく、「給食にはとても強い想いをお持ちだな」と感じました。給食についてはどのようにお考えでしょうか。

理事長:こどもたちには本当の意味で素材の良さを生かした給食を提供したいと考えています。食材は良いものであれば価格にはこだわりません。でも、ただ単に「高価なもの」「こどもの目を引くもの」「キャラクターもの」というのではありません。

本当にこどもたちの身体に良いものを出したい、そのために費用がかかるのは全く問題ないと考えています。給食はこどもたちの身体をつくるものですから大切にしたいのです。

左から、松岡先生、理事長先生、澤津琴美先生、宮崎 

澤津琴美先生:保護者の方に選ばれる給食という視点もとても大切だと考えています。

たとえば当園では国産の野菜しか使いません。これは外国産がダメという意味ではなく、海外のものにも美味しいものはたくさんあるのですが、やはり国産のものの方が保護者の皆さんが安心されます。

保護者と園との信頼関係はとても大切ですから、国産野菜を使わせていただいています。「こどもの身体に良いもの」「素材の味を生かしたもの」に特化した給食が今後はますます選ばれていくんじゃないかと思っています。

宮崎:素晴らしいお考えですね。私がいただいた給食もとても美味しかったです。

栄養士の先生、調理の先生は、本当に頑張ってくださっていますが、余裕が無い印象を持ち続けていました

宮崎:下高井戸保育園さまにも栄養士と調理の先生がいらっしゃって、長年にわたり素晴らしい給食を提供されてきた訳ですが、「保育園給食改善コンサルティング」をご利用になられたきっかけをお教えいただけますか。

澤津琴美先生:給食室の栄養士の先生も調理の先生も本当に頑張ってやってくださっていたのですが、ずっと大変そうで余裕が無い印象を持ち続けていました。

当園の保育士の先生は皆さん長くお勤めいただくのですが、給食室の先生は数年で辞められるケースもあり、大変なんだと思ってきました。給食について「こどもの身体に良いものを出したい」という想いは強くありますが、決して「手間をもっとかけて欲しい」という意味ではなく、たとえば同じ献立が繰り返し出ても美味しいものは美味しいですし、良いものは良いです。

私も長年家事で料理をしてきましたが、繰り返し作る事が熟練につながり、段取りも良くなりムダも少なくなる。どんどん楽になってくるって考えています。

ただ、最近は献立の種類が増えてきて、手間をかけて目に訴えるものになってきた気がしていました。栄養士の先生も日によっては遅くまで残っていることもあって、一生懸命さから仕事が増えてしまい、過度な負担をかけていないか心配していました。

私はいつも給食室にいるわけではありませんので実情が掴めませんし、私の想いや考えがなかなか伝わらないと悩んでいました。そこで御社に相談をさせていただきました。

宮崎:都内で弊社が受託をさせていただいている保育園さまのご紹介でしたね。

理事長:はい。そちらの理事長から「富喜屋さん良いよ」って教えていただきました。御社が実際に受託されている保育園も見学させていただいて、シンプルな献立だけどとても美味しくて、給食室のお出汁の香りが印象に残っています。

澤津琴美先生:給食室の先生方が大変そうにされている中で、なかなか私の想いが伝わらないという悩みを持っていましたので、保育園給食のプロである富喜屋だから、たとえば「こんなやり方がありますよ」とか「こうすれば給食室の負担が軽くなりますよ」といったアドバイスやノウハウがいただけるのではと考えました。

給食室に新しい風というか、違った見方を知ってもらうきっかけになればと思ったんです。

宮崎:弊社の栄養士の「畑(給食アドバイザー)」が給食室に入って感じた印象は理事長、園長先生と同じで、「給食室の先生方は本当に一生懸命、給食づくりに取り組んでらっしゃる」ということでした。

ただ、業務内容を精査してみると、「年齢ごとの野菜の切り方が非常に細かく細分化され、大きさも厳密に定められている」「年齢ごとの食材の組み合わせがとても複雑になっている」など様々な点に気づきました。

これは保育園給食ではよくあることで、その年・その時のこどもたちの状況や育ちに合わせて保育士の先生から出された要望に真剣に向き合ってきた結果、様々な決まり事が積み重なって必要以上に複雑で手間のかかる給食になってしまったという例です。

そこでまずは、献立や調理の決まり事について、「園として守りたい価値のあることか」「今は不要な決まり事か」という棚卸を園長先生・現場の先生と一緒に行いました。

そして、その結果をもとに弊社から献立(メニュー)提案・切り方・調理方法の提案・調理実務指導を実施させていただきました。実際に弊社の保育園給食改善コンサルティングを受けられて3カ月。

業務内容の見直し・整理もひと段落して、今後はひきつづき献立(メニュー)提供をさせていただくことになりますが、ご感想はいかがですか?

澤津琴美先生:色んなものを見直すきっかけになって本当に良かったと思います。

まず当初の作業内容の棚卸では、私の知らなかった業務の実際についてたくさん知る事が出来ました。これまで現場でこだわっていたことが、実はやらなくてよかったということに気が付くことも多かったです。一方で、けいわ会として守りたいもの、大切にしたいことが明確になり、栄養士の先生とも再確認・再共有する貴重な機会になりました。

なにより、業務がスリム化したことで栄養士の先生が、「大変だ」という想いから「やってあげたい」という気持ちに変化していったのがとても嬉しいです。「けいわ会は、本当に食材のことでケチケチされない。ありがたいなって思った」って言ってくれたのも嬉しかったです。

今後は、「オーガニック野菜」や「発酵食品」を積極的に取り入れた給食を実現していきたいと考えています

松岡先生:御社の栄養士とのミーティングでは、次月の献立内容について検討するのですが、細やかな要望も取り入れて下さって安心しています。2か月目に入ったあたりから、栄養士も日中に余裕が出来たようで、クラスに食事の様子を見に行ける機会が増えたのはとても良かったと思います。

宮崎:コンサルティングでは、弊社の栄養士の「畑」が実際に給食室に入ってご指導をするわけですが、進め方はいかがでしたでしょうか。

松岡先生:園の給食室の栄養士の先生に対しても認めるとこは認めてくださって、あれも駄目これも駄目じゃなくて、「こんなのもあるよ」「こういうやり方もありですよ」って言いながら進めていただけたのがとても安心できました。

宮崎:コンサルティングを進めるうえで、給食室の皆さんとの関係づくりはとても大切な要素ですので、そういっていただけると嬉しいです。今後はどのような給食を目指していかれますか。

理事長:今後はオーガニック野菜や発酵食品を積極的に取り入れた給食を実現していきたいと考えています。保護者の方も仕事でお忙しい中、たとえばアレルギーを持つこどもも増えて悩んでらっしゃる方も多いです。こどもたちの身体に良いものをもっと取り入れた給食にしていければと考えています。

宮崎:発酵食品は特に腸内細菌叢(腸内フローラ)を改善して身体だけでなく心の健康にも関与していることが明らかになってきました。ぜひ素晴らしい給食にさらに進化できるよう弊社も頑張ってお手伝いをさせていただきます。本日はお忙しい中ありがとうございました。

富喜屋の「保育園給食改善コンサルティング」では、弊社の栄養士「畑(給食アドバイザー)」が、保育園給食室の栄養士さまに直接ご指導・ご支援をいたします。

3カ月にわたり、弊社の栄養士がご支援させていただいた下高井戸保育園の栄養士「君島先生」、「出口先生」にご感想をお聞きしました。

下高井戸保育園 栄養士「君島先生」へのインタビュー

宮崎:富喜屋の給食改善コンサルティングが入ると聞いた時、どのようにお感じになりましたか?

君島先生:大阪が本社の給食会社さんということで、食材・調味料・味付けなど関西と関東の違いはどうなるのだろう?と思いました。

宮崎:実際にコンサルティングを受けていかがでしたか?

左から、「君島先生」、ふきや栄養士「畑」、「出口先生

君島先生:今までは野菜や材料の品数を多くしなければと思っていましたが、富喜屋(ふきや)さんの献立はシンプルだけどこどもたちが喜ぶ工夫があり勉強になりました。味付けについては、当園の味を尊重してくださって自由にできたので、安心してすすめることができました。

下高井戸保育園 栄養士「出口先生」へのインタビュー

宮崎:富喜屋の給食改善コンサルティングが入ると聞いた時、どのようにお感じになりましたか?

出口先生:私たちのお仕事はどうなるんだろうと、少し怖い気持ちになりました。

宮崎:実際にコンサルティングによる弊社の栄養士の支援を受けていかがでしたか?

出口先生:調理業務の棚卸を通して、切り方の整理、食材の組み合わせ改善、おやつ献立の見直し、給食だよりなど保護者配布物の見直しや統合などを富喜屋さんと一緒に進めました。

その結果、調理面・事務面ともに仕事に余裕が生まれました。これまで夕方以降行っていた事務作業なども昼間に出来る日も増えましたし、クラスに食事の様子を見に行けることも増えました。

これまでは「手間をかけることがこどもの為」と思っていたのですが、けっして手間をかけることだけにこだわる必要がないことに気づきました。ある意味、これまでの固定概念をくつがえされました。

手軽なものでもこどもに人気の献立も多く、ハンバーグやクッキーなどを一気に仕上げる方法など調理面でも勉強になりました。

弊社の栄養士「畑(給食アドバイザー)」から

給食室の出口先生・君島先生はじめ調理スタッフの皆さんにご協力をいただき、とてもスムーズに業務改善のご提案・ご支援を行うことができました。

コンサルティングなどで外部からの意見を取り入れるというのは、現場にとってはとても緊張することだと思います。私自身、長年給食の現場にいますのでお気持ちはとてもよくわかります。

ですので、私は理事長・園長先生の想いと、目的・ゴールについて出来るだけ丁寧にお伝えをするよう心がけています。

けいわ会さまの伝統や価値を尊重しながら、こどもたちはもちろん、給食室のみなさんが笑顔でお仕事に取り組んでいただけるよう、これからもお手伝いができればと考えています。

「杉並区立下高井戸保育園」さま 編集後記

給食改善コンサルティングで支援に入る際、現場の先生方は「これまでのやり方が否定されるのではないか・・・」と大変不安になられます。

しかし、下高井戸保育園さまは、理事長先生・園長先生から「給食室の負担を軽くするための勉強の機会に」ということを現場の栄養士の先生にとても丁寧にご説明いただき、お忙しい中、毎月の会議にもご出席いただいたことで、スムーズにご支援をすすめることができました。

「より良い給食を提供したい」という想いは皆同じだということの再確認、「給食室の負担を少しでも減らして、気持ちよく仕事が出来るようにしたい」という目的の共有が大切だと改めて感じました。取材当日も給食室の先生方の笑顔がとても印象的でした。