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こどもが「好きな野菜・嫌いな野菜」、「野菜を好きになる理由・嫌いになる理由」と、楽しく食べるための「野菜体験」についてもご紹介します!【お家で食育コラム vol.10】

こどもに「好きな野菜はなあに?」と聞くと、「とうもろこし!」「トマト!」などと元気な声が返ってくる一方で、「ピーマンはイヤ…」「なすはぐにゃっとしてて嫌い…」と、苦手な野菜もとっても明確に答えてくれます。

野菜の好き・嫌いには、味やにおい、見た目、そして食べたときの感触・経験が大きく影響します。

この記事では、こどもたちに人気のある野菜と、ちょっと苦手と敬遠されがちな野菜を紹介しながら、どうすれば野菜ともっと仲良くなれるかを考えていきます。

こどもたちの「好きな野菜」「嫌いな野菜」知ってますか?

日本の小学校や保育園などでの調査や傾向をもとに、2020年代以降のトレンドを参考にしたものをご紹介します。明確なランキングは見つかりませんでしたので、あえて順位はつけずに「好きな野菜・嫌いな野菜」としました。

こどもが好きな野菜10💕とその理由

「甘みのある野菜」が上位に多いです(とうもろこし、さつまいも、にんじんなど)
フライドポテトやカレー、シチューなど、こどもたちの好きなメニューに使われていると「おいしい!」という印象を持ちやすいのだと感じました。

  • とうもろこし
    💛甘くてシャキシャキおいしい、まるごとかじれるのも楽しい
  • じゃがいも
    💛フライドポテトやカレーが大好き! いつも食べているから
  • トマト
    💛おいしいから、見た目が好き・色が鮮やかだから
  • にんじん
    💛あまくて、色がきれいだから!スープもおいしい
  • さつまいも
    💛甘くておやつっぽい、大学いも・焼きいもがすき
  • きゅうり
    💛パリッとしておいしい、サラダや漬物が好き
  • かぼちゃ
    💛優しい甘みが人気。コロッケや天ぷら、スイーツなど多彩
  • ブロッコリー
    💛マヨネーズで食べるのが好き、小さな木みたいで見た目が可愛い
  • キャベツ
    💛ロールキャベツなどの料理でいっぱい登場するから
  • ピーマン
    💛“苦手な野菜” に選ばれがち。でも甘く調理すれば大丈夫

こどもが嫌いな野菜10 💦とその理由

におい、味、食感… いろいろな理由で苦手になる理由はたくさんありますが、大人が苦手な野菜もたくさん出てきます!

  • ピーマン
    にがいし、においがきらい、食感も苦手、昆虫みたいな見た目…
  • ゴーヤ
    強いにがみがダントツの不人気(大人も苦手な人が多数…)
  • なす
    色がこわい、グニャっとした食感、皮が口に残るのもいや…
  • セロリ
    香りが強すぎる、味にもクセがある
  • 玉ねぎ(特になま)
    なまの辛さやにおいが苦手。火を通せば大丈夫
  • ねぎ(長ねぎ)
    香りや辛みが苦手、口に残る感覚もダメ…
  • にら
    独特のにおいと強い風味が苦手、茎部分の食感も苦手…
  • しいたけなどキノコ類
    においや 見た目が苦手…(ぬめり感も気持ち悪い…)
  • 大根(特になま)
    辛みが苦手、煮物ならOKなおこさんも多い
  • 春菊
    にがみ・香りが強い、鍋の時期しか見ないので慣れない

こどもが 好きになりやすい野菜の特徴、理由は?

  • あまみがある
    😊トマト(ミニトマト)、とうもろこし、にんじん、かぼちゃ、さつまいも など
    ※子どもは本能的に「甘さ」に安心感を覚えるため、「甘い=安全でエネルギー源になる」と感じて、食べると元気になれると思いやすい。
  • 食感がやわらかい
    😊かぼちゃなど、きゅうり(浅漬けやスティック)、レタス、ブロッコリー、カリフラワーなど
    ※「噛みやすい・食べやすい」から。歯がまだ育っていないこともあり、やわらかさやシャキシャキ感はとても重要。
  • 見た目がカラフルで楽しい、かわいいなど
    😊赤や黄色のパプリカ、トマト、とうもろこしなど、色鮮やかで形も可愛らしい野菜は興味を持ちやすい

一緒に野菜を収穫したり、おやつ感覚で食べたもの、大好きな料理に入っていたなどの野菜は、ポジティブな経験や 楽しい記憶とセットでこどもの中に残るので、その野菜を好きになることは多いです。
 

こどもが 嫌いになりやすい野菜の特徴、理由は?

  • 「苦みやえぐみ」がある
    🍆ピーマン、ゴーヤ、春菊など
    ※「苦味=危険」と感じる。人間は本能的に苦味を嫌う傾向があり、こどもは特に敏感。
  • 独特の「におい」がある
    🍆セロリ、ねぎ、にらなど
    こどもは、嗅覚が鋭いためにおいに敏感です。大人には気にならない香りでも「へんなにおい!」と感じやすい。
  • 食感が口に合わない
    🍆なすのぐにゃっとした食感、しいたけ独特の歯ごたえ、オクラのねばねばなど
    経験が少ないので、不安になる… 食べ慣れていないと「未知の味=怖い」いやだ! となりやすい。

野菜特有の青臭さや、にがみ、えぐみ、辛味などは、 味覚が敏感な幼児期は、これらを「危険」と判断してしまいがち。また、ねばねば、ドロドロ、ぐにゃぐにゃっとした食感や、見た目が黒っぽいものなどはネガティブな印象を受けがち。

「じゃがいも」がこどもに大人気なのは、料理や体験の影響がすごく大きいから…

こどもって「🥔じゃがいも」を よく食べるし好きですよね? 「なんで好きなんだろう?」と考えると、野菜それぞれを好きになってもらうヒントが考えられます。

  1. ファーストフードや、おやつ体験の影響
    たとえばフライドポテトは「特別なお出かけ」や「ご褒美」、「楽しい時間」のイメージありませんか?
    その体験が 「じゃがいも=うれしい・楽しい食べ物」という記憶につながる。
  2. 「おいしい料理」とセットになっていませんか?
    カレーや肉じゃが、コロッケ、ポテトサラダなど、こどもが大好きな家庭料理に登場してませんか?
    「楽しい食卓」「安心する味」とリンクするので、自然と好印象になります。
  3. 比較的クセが少なく、甘みも感じる
    苦みやにおいがほぼなく、ホクホク・サクサクの食感が こどもにとって食べやすい。
  4. 調理法が多彩で、形もいろいろ変化する
    マッシュ・揚げる・煮る・焼くなど、こどもの成長に合わせて「食べやすい形」に変えられる。

🍟フライドポテトやカレーのように「こどもに人気のメニュー」に入っている野菜は、自然と好感度が高まります。一方で、「単体で出されると食べない」ことも多々あり…、楽しいメニューと組み合わせることがカギになります。

じゃがいもの特徴は、「強い味やクセが少ない」。そして「こどもにとって楽しい経験と結びつきやすい」ので、大人気野菜になりやすいんです 😊

苦手な野菜を「楽しい体験」で克服していくのはいかがですか?

どうしたら食べてくれるのか… みなさん本当に悩まれています。

料理する側は、レシピや味つけを変えたり、切り方を工夫するなどして一生懸命がんばっても、なかなかこどもは思うような反応をしてくれません…。

「おいしいから食べてくれた」がなかなか難しい時、「楽しいから食べちゃった」という楽しい体験を作ってあげることもこどもたちにはとても有効です。

普段はキッチンで作っている料理をひと工夫して…

🔥 いつもの料理を「ホットプレート」で!

  • お好み焼き・チヂミ:キャベツやにらが「生地の一部」になり、自然に食べられます!
  • チャーハンや焼きそば:細かく切った野菜をチャーハンに、焼きそばにはたくさんの野菜を一緒に混ぜれば楽しくなる!
  • 焼き野菜パーティー:ピーマン、なす、ズッキーニ、とうもろこしなどを焼いて自分でトングで取ってたべる!
  • チーズフォンデュ風:温野菜をチーズにからめると、野菜がごちそうに大変身!

✨「野菜を鉄板にのせて~」「これまぜまぜして~」などの本当に簡単なお手伝いを頼むと、その体験にこどもたちはワクワクします😊

👉そして必ず、「お手伝いありがとう」「〇〇ちゃんがやってくれたんだよ~」のお礼やおほめの言葉も忘れないでくださいね!😊 ほんの 少しのことでも自分でできたという体験は、こどもにとっての大きな自信になります。また、お手伝いして喜ばれたことで、とても嬉しくて 誇らしい気持ちになります😊


※お手伝いの際には、やけどや、刃物の扱いには十分に気を付けてくださいね!

🍳 おうちでできる「楽しむ系」クッキング

  • 手巻きサラダ寿司:魚介類を集めるのは大変なので、卵を焼いたもの、カニカマ、レタス、きゅうり、チーズなども用意して「自分で巻く」ことを楽しんでもらいます(納豆なんかもおいしいですよ!)
  • サラダバー風:野菜を何種類か並べて、自分で「好きにトッピング」。ハムやツナ、チーズなどがあると◎
  • マイ サンドイッチ:パンと具材を自由に選んで「自分だけのサンドイッチ」を作る。食パンが大きくて扱いにくいようでしたら、ロールパン、コッペパンなども具材がはさみやすくて◎
  • 生春巻きやトルティーヤ:「自分で巻いて」つくる外国料理。生春巻きはベトナム、トルティーヤはメキシコだよ~と盛り上がれます!
  • 闇たこやき(サプライズで野菜入り):たこ焼き器で、ピーマン・コーン・チーズ・ウインナーなど色々入れて「中身を当てる」ゲームなどはいかがでしょうか?

✨ こどもにとって、「自分で選んで・さわって・作る」体験が野菜を身近なものにします。また、「みんなで作った楽しい思い出」で、そのときに食べた野菜をポジティブに記憶していきます」😊
わざわざキャンプに行かなくても、お家で楽しくみんなで調理するだけで効果は絶大です

👉 「野菜をおいしく食べる」よりも「野菜と一緒に楽しい時間を過ごす」が大切なんです😊
調味料を工夫したり、野菜のカットの仕方、混ぜたり、すりつぶしたりという、調理する際のたいへんな努力よりも、「楽しい仕掛け」で、こどもを巻き込んで一緒に体験してもらいましょう

「味つけ」よりも「体験」が効く理由(まとめ)

  • ポジティブな体験と結びつく
    「楽しい=安全で安心」と脳が感じるので、そのとき食べた野菜は「好き」になりやすい😊
  • 味へのハードルが下がる
    嫌いな野菜だとしても、「楽しい体験の一部」なら一口だけでもチャレンジできるかも😊
  • 主体性が持てる
    「自分で選んだ」「自分で作った」ものはうれしくて、ちょっぴり誇らしくて、自然と食べたくなっちゃう😊

🍅 こどもに人気の野菜まとめてみました

🌽 とうもろこし
スープやコーンバターなどの甘みを感じる料理が多い。またバーベキューや屋台の焼きとうもろこしなど屋外での楽しい体験もセットになっている。甘くてプチプチ食感が楽しい。

🍅 トマト(ミニトマト)
サラダやお弁当にキレイに盛り付ける。家庭菜園で収穫する体験をするなど。甘酸っぱい味がフルーツ感覚でおいしい。

🥕 にんじん
カレーやハンバーグの付け合わせなど、グラッセやキャラ弁にもよく使われる。カラフルでかわいい色が楽しい。
甘みが強い品種はこどもにはとても食べやすい。

🎃 かぼちゃ・さつまいも
スープやグラタン、焼き芋、天ぷら、スイーツ(プリン、スイートポテト)など。甘みが強くおやつ感覚で食べられる。ハロウィンや季節の行事と結びつきやすい。

🥬 レタス
ファストフードのハンバーガー、サンドイッチ、サラダバーなどの色の印象でワクワク感がある。みずみずしくクセが少ない味で、いやな印象がない。外食の楽しい経験とセットで好印象。

👉 まとめると、「こどもに人気の野菜」は、味はもちろん大切ですが、見た目の鮮やかさ、彩り、また、「どんな料理や経験と結びついて好きになったか」を考えることが大切です。

🥦こどもが嫌いになりやすい野菜まとめてみました


🫑 ピーマン
苦味が強い、独特の青臭さがある。噛んだときのジューッとした苦汁の成分がこどもの敏感な味覚には強く感じられます。 (こどもは苦味を本能的に避ける傾向があります)。そして緑色の見た目です…

🍆 なす
調理によっては、ぐにゃっとした食感。また、皮がかたくて噛みにくいなど食べにくさが理由(皮が口に残るのが嫌という場合もあります)。味では、アクの苦味やえぐみが嫌いという声も。


🍄 しいたけなどのきのこ類
独特のにおいや、にゅるっとした歯ごたえ。色や形の見た目、そして一部のキノコ特有の風味です。その土っぽいにおいを「くさい」と感じやすく、匂いに敏感だと苦手意識の原因になりやすい。

🥦 ブロッコリー・カリフラワー
もさもさした口に残る食感や青臭さ、見た目がゴツゴツしていることに抵抗感を感じるこどももいます(逆に木みたいなどと言って、かわいいというこもいます…)。

🧅 玉ねぎ
生だと辛いことや、ツンとした刺激臭が強いこと、煮てもとろけた食感が苦手なこどももいます。切ると涙が出る=「怖い野菜」と思うこどももいます。

🌿 セロリ・にら・ねぎ類
香りが強烈なので敏感だと「くさい」と思いやすいです。大人の嗜好性が高い味はこどもは好きになれません。

👉 まとめると、こどもが嫌いになるのは「味覚に敏感だから」+「経験不足だから」というのが一番大きな理由です。
また、無理やり食べさせられたり、嫌がっているのに出され続けた などのネガティブな体験を繰り返されると、記憶として嫌いが強化されるので注意が必要です。

「なんで野菜を食べてくれないの…?」と悩む方へ

まず最初に、「野菜を食べない = ダメ」ではありません。

こどもが野菜を食べたがらない理由は、「圧倒的に経験が少ない」からです。
味の好き嫌い以前に、これが一番の理由だと思います。

こどもにとっては、「食べることそのもの」が、「新しい体験」の連続なんです。
あまい、からい、苦いなどの味、におい、へんな食感、風味… 本当に驚きの連続です。

まだまだ「食べている回数」そのものが圧倒的に少ないんですから当然ですよね?

ですので、これからたくさんの経験を積み重ねていくことが大切です。
大人はもう忘れてしまっていますが、「食べること」に、「慣れる」必要があるんです。

だから焦らなくても大丈夫です。
ゆっくり時間をかけて、そのこどもの “おいしい” を一緒に育てていきましょう☺️

またこどもは、「食べることそのもの」が、楽しいと思っていない可能性もあります。
大人は無条件に、「美味しいものを食べる=楽しい」と思っていますが、こどもの感覚では、「食事 = 楽しい時間」と結びついていない可能性があります。

ですので、大人が「食べるって楽しいし、うれしいことだよ」と、教えてあげること、目の前で楽しんでいる姿を見せてあげることがとても大切だと思います。

こどもはつねに「大人の姿」をお手本にして世界を学んでいくので、食べることに対する姿勢や雰囲気も大人から影響を大きく受けます。

たとえば、

  • 「おいしいね!」と笑顔で楽しそうに食べている
  • 食卓で会話がはずんで楽しそう
  • 新しい食材を「これどんな味かな?楽しみだね」とワクワクしながら食べている

こういう姿を繰り返し見せることで、こどもも「食べるって楽しいんだ」と自然に感じられるようになります。
⇒逆に「早く食べなさい」「残さないで!」と怒られてばかりだと、「食事=嫌な時間」になってしまいます。

「食べること自体を楽しむ姿を見せる」ことが、こどもにとって「最高の食育」だと思います。

【ご注意ください】枝豆を含む豆類やナッツなど、幼児の窒息リスクについて

「枝豆」には硬さがあるため、誤嚥や窒息の危険があります。

消費者庁では「硬い豆やナッツ類(枝豆・落花生・アーモンドなど)」をはじめ、「ブドウやミニトマトなど丸くてツルっとした食材」、「もちや白玉団子など粘着性の高い食材」、「こんにゃくゼリーのように噛み切りにくい食材」について、幼児には特に注意が必要としています。

なお、給食では、安全のため上記の食材は使用していません。

【参考】Vol.580 硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!