えんどう豆はマメ科のつる性一年・二年草で、中央アジアから中近東が原産といわれます。
古代エジプトや古代ギリシャ・ローマでも栽培され、日本には9世紀頃、遣唐使を通じて伝わりました。
明治時代以降は欧米各国から品種が導入され、全国で生産されるようになりました。
保育園や幼稚園の給食では、豆などをそのまま出すと誤嚥の危険があるため、子どもの成長に合わせて、カットしたり、やわらかく煮て軽くつぶすなどの工夫をして提供します。

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えんどう豆の種類
えんどう豆には主に次のような種類があります。
- グリーンピース(実えんどう)
未成熟の青い実を食べる種類で、給食やご家庭でよく使われます。さやから実を取り出して調理します。 - スナップえんどう
さやごと食べられる種類で、筋を取り除いて調理します。甘みがあり、彩りにも便利です。 - 絹さやえんどう(きぬさや)
さやの長さが5~6cmくらいのうちに若どりしたもので、スーパーでよく見かける種類です。代表的な品種には「ニムラ白花きぬさや」や「美笹(みささ)」があります。 - 豆苗(とうみょう)
えんどうの若い茎や葉を食用にしたもので、えんどうらしい風味と香りがあります。炒め物、スープ、料理のつまなどに利用されます。 - その他の品種
「砂糖さやえんどう」「ツタンカーメンのえんどう豆」などの品種もあります。 砂糖さやえんどうは甘みが強く、ツタンカーメンのえんどう豆はさやが紫色の実えんどうです。
※絹さやの特徴・調理・保存方法は →別の記事をご参照ください。




えんどう豆の旬
えんどう豆は寒さに強く、秋に種をまいて冬を越し、翌春に収穫されます。
生育は早く、種をまいてから約2か月ほどで豆が収穫の時期を迎えます。
さやえんどうは開花から約2週間で食べごろになります。
えんどう豆の栄養
えんどう豆には、体を作るたんぱく質が多く含まれています。
また、緑黄色野菜として大切なβ-カロテンも豊富です。
β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、目や皮膚、口の中の健康を保つのに役立つ栄養素です。
おいしい「えんどう豆」の選び方
- グリーンピース
さやの中の豆がふっくら丸く、均一な緑色のものを選びます。さやにしわがなく、手で触れて硬すぎず柔らかすぎないものが鮮度の目安です。黒ずみや実の大きさがそろっていないものは避けます。 - スナップえんどう
全体が鮮やかな緑色で、表面に張りとツヤがあるものを選びます。ガクやヘタも生き生きとしており、折ったときにパキッと音がするものは食感がしっかりしています。 - 豆苗
葉が濃い緑色で、茎がシャキッとしているものを選びます。根付きタイプは鮮度が保ちやすく、再収穫もできます。根が切られているものを選ぶ場合は、切り口が乾いていたり茶色くなっていたりしないか確認しましょう。
えんどう豆の調理のポイント
ここで保育園・幼稚園の子どもたちが「えんどう豆」を美味しく食べられるように調理のコツについてお伝えします。給食やご家庭で活かしてみましょう。
ここでは、一般的な茹で方と、子どもが食べやすくするための工夫をまとめています。
- グリーンピース
やわらかく仕上げることが大切です。塩を少し加えた湯で2〜3分茹で、指で軽くつぶせる程度を目安にします。茹でた後は冷水にとって色止めをし、軽くつぶしてから混ぜごはんやスープなどに使うと食べやすくなります。 - スナップえんどう
筋をしっかり取り、塩を加えた湯で1〜2分茹でると鮮やかな緑色に仕上がります。冷水にとって色を保ちましょう。小さな子どもには、縦半分に切ってから提供すると安心です。 - 豆苗(とうみょう)
豆苗は屋内の施設で農薬を使わず、衛生的に栽培されています。そのため、流水でさっと洗うだけで食べられます。加熱しすぎないのがポイントで、炒め物なら強火で40秒〜1分ほど、スープなら最後に加えてさっと火を通す程度にしましょう。短く切ると食べやすく、香りや歯ざわりも楽しめます。
えんどう豆の保存方法
次に、えんどう豆の冷蔵の保存方法をご紹介します。
冷蔵保存
- スナップえんどう
湿らせたキッチンペーパーで包み、保存袋に入れて野菜室で保存します。保存期間は2〜3日です。 - グリーンピース
さやごと保存袋に入れ、野菜室で保存します。保存期間は2〜3日です。 - 豆苗
未開封のまま立てた状態で冷蔵庫または野菜室で保存します。傷みやしおれ、異臭がないか確認し、購入後2〜3日を目安に早めに食べましょう。
【ご注意】豆類の幼児の窒息リスクについて
豆類は丸くてつるっとしているため、噛まずに飲み込むと気道に詰まりやすく、窒息事故につながる危険があります。
特にグリーンピースなどの小さな豆は、やわらかく煮て軽くつぶすことで、誤嚥のリスクを下げることができます。
以下のような工夫をすると、より安全に食べられます。
- 豆を軽くつぶす
- とろみをつける
- ご飯やポテトサラダなどに混ぜて、豆だけを飲み込まないようにする
硬いままや粒が残る状態では誤嚥や窒息の危険があります。特に5歳以下の子どもには注意が必要です。必ずやわらかく調理し、食べやすくしてから与えましょう。
→【参考】Vol.580 硬い豆やナッツ類は5歳以下の子どもには食べさせないで!
「えんどう豆」を離乳食に取り入れる時期と硬さの目安
- グリーンピース:初期(5,6か月頃)から。筋を取り柔らかく茹で、裏ごしやみじん切りにして加えます。
- スナップえんどう:中期(7〜8か月頃)以降に少量から。筋を取り柔らかく茹で、刻んで使用します。
- 豆苗:中期(7〜8か月頃)から。葉先のみを使用し、やわらかく茹でて細かく刻みます。
保存した食材を離乳食・幼児食に取り入れる場合
赤ちゃんは細菌に対して抵抗力が弱いため、冷蔵保存したものは当日、冷凍保存の場合で1週間を目安になるべく早めに使い切りましょう。
幼児の場合でも、冷蔵保存で数日、冷凍保存で2週間以内が目安です。
また、食べさせる前には、必ず再加熱してから与えます。
※赤ちゃんの発育・発達には個人差があります。
はじめて与える場合は、平日の医療機関が開いている時間帯がおすすめです。お子さんの様子をみながら、少量から離乳食を進めてください。

こどもに話したい「えんどう豆」の話 ~えんどう豆クイズ!~
えんどう豆はどうやって食べるかな?
- さやごと食べる
- 中の豆だけ食べる
- 葉っぱだけ食べる
答え:①と②と③
※スナップえんどうはさやごと食べます。
※グリーンピースは中の豆だけを食べます。
※豆苗はえんどう豆の芽を育てたもので、葉っぱや茎を食べます。
まとめ
えんどう豆にはグリーンピース、スナップえんどう、豆苗などがあります。
それぞれ茹で方や筋の取り方に注意して、美味しく食べましょう。
冷蔵や冷凍で保存でき、離乳食や給食、家庭料理でも彩りや食感を活かせます。
※保育園や幼稚園の給食では、食中毒予防の観点から、生野菜は提供していません。




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