麦ごはんや麦茶でおなじみの「大麦」は、昔から日本の食卓に登場してきた穀物です。およそ1,800年前に中国から伝わり、奈良時代には全国で栽培されていました。
平安時代にはお米と混ぜて「大麦ごはん」として食べられ、近年はパックごはんや大麦麺など、家庭でも手軽に楽しめる商品が増えています。
保育園や幼稚園の給食でも、ごはんに混ぜて消化の負担にならない範囲で使われることがあります。なお、小麦アレルギーお持ちのお子様は大麦でも症状が出る可能性があります。必ず事前に医師に相談をしましょう。富喜屋ではアレルギー管理の観点から給食で大麦は使用していません。

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大麦と小麦の違い
小麦と大麦では、たんぱく質の性質が違います。
- 小麦:粘りのあるたんぱく質を含み、パンや麺をふんわり膨らませたり、しっかりしたコシをつくるのに向きます。
- 大麦:粘りが少ない代わりに水をよく吸うため、ごはんに混ぜるとほどよいやわらかさと食べやすさが出ます。
大麦の種類と特徴
大麦には「もち性」と「うるち性」の2種類があります。
- もち性(もち麦)
もちもちしていて、プチプチした食感が特徴です。 - うるち性(押し麦)
うるち性の大麦を精麦して蒸気を加えてローラーで押しつぶしたもので、ごはんと一緒に炊きやすくしています。 もち性ほど粘りはありませんが、少しプチっとした食感です。
大麦の旬
大麦の旬は初夏、5~6月ごろ。黄金色に実り、風味のよい時期です。
大麦の栄養
大麦の大きな特長は、食物繊維の多さです。精白米の約24倍(100gあたり)※もの食物繊維を含み、水溶性と不溶性をバランスよく摂ることができます。
水溶性食物繊維の「β-グルカン」は、食後の血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあるとされ、不溶性食物繊維は腸の働きを助けます。
※参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」押麦(乾)と精白米を比較
おいしい「大麦」の選び方
大麦を購入するときは、粒の大きさがそろっていて、白くふっくらしているものがおすすめです。袋を開けたときに湿気やカビのにおいがしないかも確認しましょう。
大麦の調理のポイント
ここで保育園・幼稚園の子どもたちが「大麦」を美味しく食べられるように調理のコツについてお伝えします。給食やご家庭で活かしてみましょう。
大麦の種類と使い方
大麦はそのままだと水分を吸いにくいため、平たく加工された押し麦を使うと調理しやすくなります。 ごはんに混ぜる場合は、お米を多めに、麦は少なめにすると食べやすくなります。量はお子さんの成長に合わせて調整することが大切です。
小さな子どもに与えるときの注意
押し麦は食物繊維が豊富なため、内臓がまだ未熟な小さな子どもには消化の負担になることがあります。麦を食事に加える時期に明確な決まりはありませんが、離乳食完了期(1歳頃)を目安に、試してみたい場合はごく少量から始めると安心です。
咀嚼の力がついていれば、ごはんやお粥に混ぜて軟らかく炊き、量は無理に増やさず、子どもの様子を見ながら少しずつ慣れていくとよいでしょう。
麦飯の比率で食感の目安
一般的な給食では、米35gに対して大麦6gを混ぜると、大麦の割合は約1.5割になります。 この比率は白米に近く、麦の風味が控えめで食べやすいため、初めて大麦を食べる子どもにも向いています。
- 麦1.5割:白米に近く、麦の風味控えめ。初めての子ども向き
- 麦5割:白米と麦の香りバランス良く、プチプチ感も楽しめる
- 麦7割:麦の風味が強く、プチプチ感がしっかり

大麦の保存方法
大麦を保存する際は、湿気や温度の変化を避けることが大切です。常温でも冷蔵でも保存できますが、季節や保存期間によって方法を選びましょう。
常温保存
湿気が少なく、直射日光の当たらない涼しい場所に置きます。密封できる袋や容器に入れると、虫の侵入を防ぐことができます。長期間保存したい場合は、乾燥剤や唐辛子を一緒に入れておくと虫よけ効果が期待できます。
冷蔵保存
夏場や湿度が高い時期は、冷蔵庫の野菜室など温度が安定した場所での保存がおすすめです。密封できる容器や袋を使い、湿気を防ぎながら保管してください。
「大麦」を離乳食に取り入れる時期と硬さの目安
保存した食材を離乳食・幼児食に取り入れる場合
赤ちゃんは細菌に対して抵抗力が弱いため、冷蔵保存したものは当日、冷凍保存の場合で1週間を目安になるべく早めに使い切りましょう。
幼児の場合でも、冷蔵保存で数日、冷凍保存で2週間以内が目安です。また、食べさせる前には、必ず再加熱してから与えます。
※赤ちゃんの発育・発達には個人差があります。
はじめて与える場合は、平日の医療機関が開いている時間帯がおすすめです。お子さんの様子をみながら、少量から離乳食を進めてください。

こどもに話したい「大麦」の話 ~大麦クイズ!~
「大麦の粒」はどんな形をしているでしょう?
- 丸い
- 細長い
- 四角い
答え:② 細長い
⇒ 大麦は細長い粒が特徴で、ごはんに混ぜるとプチプチした食感になります。
まとめ
大麦は食物繊維が豊富で、昔から親しまれてきた穀物です。ごはんに混ぜる比率で食感が変わるため、子どもの発育に合わせてやわらかく炊いたものを少量ずつ取り入れてください。

