
前編では、「噛む力は放っておいては育たないので、噛みごたえのある食事で、毎日少しずつ育てていくもの」というお話をしました。
そして、主食を「ごはん」にすると、自然と噛む回数が増えるとご紹介しましたね。
後編では、少し意外なテーマで、「おやつ」についてです。
前編をまだ読んでいない方も、ここから読んでいただいて大丈夫です。
かたいものは食べないのに、グミはよく噛みます
「噛む力を育てるなら、かたいものを食べさせればいい」と、するめや、かたいおせんべい、生の人参スティックなどを出してみたけど、ぜんぜん食べない…。そんな経験、ありませんか?
「噛ませたい」と「こどもが食べたい」は、なかなか一致しませんから、かたくて噛みごたえのあるものほど、こどもは敬遠しがちです。
ところが… こどもが、夢中になって、いちばんよく噛んでいるおやつがあります。
それは、「グミ」です。
意外に思われるかもしれませんが、グミはもともと、こどもに「噛む」練習をしてもらうために生まれたお菓子だと言われています。
あの弾力と歯ごたえは、たくさん噛むようにできているのです。
実際に、こども向けに「よく噛む」ことを目的としたグミも作られていて、かたく弾力のあるグミを習慣的に食べることで、噛む力などの口の機能によい影響があった、という研究も報告されています。
かたい人参は食べないのに、グミなら喜んで噛み続けるなら、その「よく噛んでいる時間」を、噛む力を育てるチャンスとして活かさない手はありません。
いつものおやつを “噛む練習” に変えるコツ
特別なものを買う必要はありません。いつものグミで、ほんの少し声をかけるだけです。
「さあ、しっかり噛もうね」と、言いながら保護者の方やご家族が見ていると、こどもは はりきって、いつもよりよく噛みます。いつものおやつが、そのまま“噛む練習”に変わるのです。
そしてできたら、もうひとつ…。
グミを食べたら、「歯みがきもしようね」をセットにすると、よく噛む練習と、歯みがきの習慣が、いっぺんに身につきます。
「食べたら磨く」をセットにすれば、虫歯のリスクも減らせます。逆にグミが食べたいから歯磨きを頑張る子も出てくるかも…。
噛むことを楽しみながら、歯みがきの習慣も育つなら、おやつの時間が、食育の時間に変わります。


おやつ(補食)の基本は忘れないでください
ここでひとつ大切なことがあります。
小さなこどもにとって、おやつは単なる楽しみではなく、「補食」という食事の一部です。
こどもは胃が小さいため、1回の食事だけでは必要な栄養やエネルギーを十分にとりきれませんので、その不足分を補うのがおやつの役割です。
そのため、おやつの基本は、おにぎりやふかしいも、果物など栄養をしっかり補えるものが望ましいとされています。
グミはあくまでもその上で、「噛む練習」を楽しみながら取り入れるためのプラスアルファと考えていただければと思います。






気になる「甘さ」は、手作りで調整
とはいえ、市販のグミは砂糖がたっぷりですから、毎日となると甘さが気になりますという保護者の方も多いと思います。
そんなときは、おうちで手作りしてみるのもおすすめです。
実はグミは、おどろくほどかんたんに作れます。
【用意するもの】
- 果汁100%のジュース
- 粉ゼラチン
- そして少量のお砂糖
【グミの作り方】
- 果汁100%のジュース(100ml)に、粉ゼラチン(10g)とお砂糖(小さじ1〜大さじ1)を入れて、電子レンジで軽く温めて混ぜます。
※ゼラチンは沸騰させると固まりにくくなるので、温めすぎに注意してください。 - よく溶けたら、シリコンの型や小さな容器に流し入れます。
- 冷蔵庫で1時間ほど冷やし固めれば、できあがり。
ポイントは、ゼラチンの量です。
少し多めにすると、かたくて噛みごたえのあるグミになります。
噛む練習用に自分で調整できるのが、手作りのうれしいところですし、砂糖の量や種類も自分で決められるので、甘さ控えめにもできます。
※ゼラチンの量を増やすと、より噛みごたえのあるグミになりますが、こどもには硬すぎる場合がありますので、先に保護者の方が食べて硬さを確認してから与えるようにしましょう。
また、誤嚥や窒息を防ぐために厚みのある形ではなく平たく小さめに作ると安心です。
そして手づくりのグミは、こどもにとっては特別なものです。
混ぜることを手伝うことで「自分で作った」という気持ちから食べ物に愛着がわきます。
一緒に作って、噛んで、楽しむ。これも立派な食育のひとつです。
※生のパイナップルやキウイの果汁は固まりにくいので、使う場合は加熱したものを。
また、保存料を使っていないので、作った当日に食べきってくださいね。

こどもに話して聞かせる「よく噛むことの意味」
こどもに「どうして いっぱい噛まないといけないの?」と聞かれたら、こんな説明はいかがでしょうか?
園児さん向け(3〜5歳)
食べ物はね、もぐもぐいっぱい噛むと、もっとおいしくなるんだよ。
お口の中で、ごはんが少しずつあまくなっていくんだよ。
だから、あわてて飲み込まないで、もぐもぐゆっくり食べてみようね。
低学年向け
よく噛むと、いいことがたくさんあるんだよ。
ごはんの味がよくわかるし、おなかも元気になるし、あごも強くなる。
何回噛むか数えなくていいから、「もぐもぐ」を、いつもよりちょっとだけ長くやってみよう。
ここでも、「ちゃんと噛みなさい」と注意するのではなく、「噛むと、いいことがあるよ」と楽しく伝えてあげるのがコツです。

噛むと、味がわかります
最後に、よく噛むことの、いちばんすてきなごほうびをお話しします。
それは、「味がよくわかるようになる」ということ。
ごはんを口に入れて、もぐもぐとよく噛んでいるとだんだん甘みが出てくる… そんな経験はありませんか。
お米には、噛むほどに甘く感じる性質があるからです。
ですので、よく噛むことは食べ物の本当のおいしさに気づくいちばんの近道です。
噛むことと味わうこと、このふたつはしっかりつながっていますから、よく噛む子は味の違いがわかる子に育っていきます。これはまた、別のお話としてご紹介できればと思います。

(まとめ)噛むことは、一生つづく食習慣の土台です
「よく噛む」は、一日で身につくものではありませんが、毎日の小さな積み重ねでゆっくりと育っていくものです。
- 主食を「ごはん」にすると、自然と噛む回数が増えると言われている(前編)
- かたいものは食べなくても、こどもは「グミ」をよく噛む
- 声かけと歯みがきをセットにすれば、いつものおやつが噛む練習と歯磨きの習慣作りになる
- 甘さが気になるときは、手作りグミ。「自分で作った」が、もっと噛む気持ちにつながる
そして何より噛むことは、こども一人にがんばらせることではなく、家族みんなの食卓でいっしょに育てていくものですから、焦らずゆっくり、家族みんなで行いましょう。
それが、一生つづく「噛む」習慣のいちばんの土台になります。
→前編(解説編)の「噛むのはなぜ大事なのか」「噛む力はどう育てるのか」はこちらからどうぞ。

※「お家で食育コラム」は、ご家庭で楽しみながら取り組める食育のヒントをお届けするコラムです。
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